仕事に貴賎なし
清掃はやさしさ: 世界一清潔な空港を支える職人の生き様

彼女は現在羽田空港で働く500人を束ねる清掃のプロ。
しかし、彼女の人生は壮絶だ。
中国で幼少を過ごしていたものの、父が残留孤児の日本人であることを知らされる。
父が日本人だと知られると中国で石など投げらられるなどいじめにあう。
しかし、父親も苦労されてて、養父母に13歳の頃死に別れている。
父が日本に帰国したいという希望で日本に来るが仕事がない。
日本語も話せない中家族で仕事を探し、漢字で清掃と書かれた文字を見て家族で清掃の仕事に。
彼女は高校に通いながら清掃のバイトに明け暮れてたそうだ。
パンの耳やビスケット一枚に卵だけという生活を送る。
日本では逆に日本語が話せずに中国人といじめにあう。
高校卒業してからデスクワークに着くが清掃のバイトも続けていた。
そんななか、職業訓練の清掃の講座の募集に出会う。
ただし条件は仕事についていないこと。
清掃が自分に向いていると思い、それまでの仕事を辞めて、学びはじめる。
清掃の奥の深さに惹かれ、さらに先生に恵まれ、その先生の勤務先である羽田空港で働くことになる。
そしてその先生とともに清掃の勉強に打ち込み、清掃の全国大会で優勝する。
先生だった上司は部長に昇進した。
羽田空港は世界一清潔な空港に2度輝く。
先生だった上司に恩返しするために優勝したかったと。
恩人というのはもう少し重みのある人を意味するとのこと。
最後には死に別れてしまった先輩課長や部長の感謝の気持ちがつづられてる。
おそらくどん底のような境遇を乗り越えてきたからこそ書ける思いやりの言葉に溢れている。
そして清掃は天職だといいきる。
仕事に行くのが楽しいと。
この本は、人生のエッセンスが詰まっている。
仕事や人生の向かう姿勢や考え方、思いやりや人の恩を大事にすること。
どんな境遇にあっても、取り組み方で人生を変えられるということを教えられる。
今一度自分の人生を見つめなおす機会を与えられた一冊。
ちなみに彼女はnhkのプロフェッショナル仕事の流儀に2度取り上げらられている。